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先日、当社社員が出張した際、急な悪天候の影響で交通機関が大幅に乱れ、通常であれば3時間ほどで到着できるところ、移動に8時間を要する事態となりました。出張先での当日の業務はキャンセルとなり翌日に延期されましたが、長時間拘束される結果となってしまいました。不可抗力とはいえ、このような場合、給与についてどのように取り扱えばよろしいでしょうか?(町田市 不動産業S社)

 ご質問のケースについては、当該時間が労働時間に当たるかどうかが判断基準になります。

 労働時間とは、使用者の指揮監督下に置かれている時間をいい、実際に精神または肉体を活動させている時間だけでなく、いわゆる手待ち時間も含まれます。

 

 これに当てはまらない時間として通勤時間があげられます。通勤時間は始業時刻までに就業場所へ到着しなければならないという一定の拘束性を持つものの、具体的な業務に関する指揮監督下になく自由利用が保障されているため、労働時間には当たらないと考えられています。

 

 同様に、出張先への移動時間についても、判例によるとその多くが労働時間にあたらないとしています。移動時間は、出張先での業務を遂行するために必要不可欠な時間であり、電車や飛行機などの移動手段における一定の拘束性はありますが、具体的な業務に関する指揮監督下になく自由利用が保障されているという点において、「通勤時間」と類似しているためです。

 

 では、悪天候などの天災事変により長時間拘束された場合はどうでしょうか。このような場合も、当該時間が移動時間と考えますと、前述のとおり労働時間には当たりません。また、天災事変による欠務については、使用者の責めに帰すべき事由によるものとはいえないため、休業手当(平均賃金の100分の60以上)の支払義務もありません。

 

 いずれにせよ、天災事変によって長時間にわたり拘束された場合、それは不可抗力によるものであって労働時間に当たらないという考え方に変わりはありません。

 

 以上のことから、いわゆるノーワーク・ノーペイの原則により、法律の上では賃金の支払い義務は生じないことになります。

しかし、実務において考えると、(所定労働時間外や休日の移動時間については時間外労働として取り扱わないとしても)業務命令に基づいて移動した所定労働時間内について一切賃金を支給しないというのは、好ましいとはいえません。なぜなら、そもそも出張命令がなければ所定労働時間分の給与が支給されるはずであったのに対して労働者が不利益を被ることになるためです。実務上の対応としては、所定労働時間労働したものとみなして賃金を支給するのが適切といえます。

 

 一般的に、出張時の労働時間が算定し難い場合には、移動時間も含めて 「所定労働時間労働したものとみなす」とする事業場外労働のみなし労働時間制を適用しているケースが多く見受けられます。ご質問のケースにおいても、会社として当該制度が適用できるのでれば、事業場外労働のみなし労働時間制を適用することが妥当な対応といえるでしょう。

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