従業員が誤ってパソコンにコーヒーをこぼしてしまいました。修理を試みましたが、復旧できなかったため廃棄処分としました。当該従業員にパソコンの購入時の代金を全額弁償させることは可能でしょうか?(海老名市 情報通信業N社)
今回のケースにおいて、従業員にパソコンの「購入費用全額」を弁償させることはできないものと考えます。
過去の判例を見ても、使用者には従業員の業務を指揮・監督し、リスクを管理する責任があることから、損害を使用者と従業員との間で公平に分担すべきであると考えられ、従業員に対する損害賠償請求については、故意・過失の程度、損害の内容や金額、業務内容、会社の管理体制などを総合的に考慮して判断されています。全額の弁償が認められるケースは非常に限定的です。
また、仮に弁償が認められる場合でも、その場合の基準は「購入時の代金」ではなく「事故当時の時価(減価償却後の価値)」となるでしょう。
なお、今回のケースにおいて、特にデスクでコーヒー等を飲むことが禁止されていない場合、うっかりこぼしてしまった行為は軽過失(通常の不注意)にとどまり、損害賠償請求自体が認められない可能性も高いと考えます。
従業員に重大な過失が認められるようなケースにおいては、損害賠償の範囲が広く認められる可能性がありますが、それでも全額弁償させることができるとは限らないため、その点ご留意ください。