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社員の横領が発覚し、懲戒解雇を検討していますが、事実関係を調査して処分を決定するまでは出勤停止処分とし、その後懲戒解雇しようと思っております。これは二重処罰になるでしょうか?(町田市 飲食業G社)

 一度懲戒処分を行った社員の間題行動に対し、同じ理由で重ねて処分を行うことは二重処罰の禁止に反するため、許されません。例えば、業務命令に反した社員を譴責処分としたが、反省の色が見えないという理由でさらに減給の処分をするといったことは、二重処罰に該当します。

 

 二重処罰をしてはいけないということは分かっていても、気付かずやってしまったというケースは少なくありません。今回のご質問のケースもありがちな二重処罰の例と言えます。事実関係を調査する間の「出勤停止」を懲戒処分として行うのであれば、その後同じ理由で懲戒解雇などの処分をすることはできません。まさに二重処罰になってしまうからです。そのため、調査が終わるまで会社に出てきてもらっては困るという場合は、出勤停止処分ではなく自宅待機を命じるべきと言えます。なお、この場合、会社の都合で自宅待機を命じることになるため、原則として、休業手当(平均賃金の6割以上)の支払いが必要になります。横領した社員に賃金を支払って休ませるのは納得できないかもしれませんが、その後の処分を考えるとやむを得ません。

 

 では、横領を理由に懲戒解雇した上で、把握できた損害について損害賠償の請求を行うことは二重処罰に該当するでしょうか。これについては、損害賠償と懲戒処分は別ものになるため問題ありません。横領という行為について罰金を支払わせるわけではなく、実際の損害を賠償してもらう行為であり処罰ではないため二重処罰にはあたりません。

 

 「遅刻が多い社員に始末書を提出させた。それでもまだ遅刻を繰り返すため減給処分にした。」といったケースはどうでしょうか。これは、過去に行った懲戒処分に対して重ねて懲戒処分を行っているようにも見えますが、同一の問題行動に対して2回処分を科していることにはならないため二重処罰には該当しません。新たな間題行動が発生した際に、過去の懲戒歴を考慮してより重い処分を検討することは、二重処罰には該当しないとされています。

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