1日300円支給している食事補助を打ち切ることは可能でしょうか?(製造業T社)
ご質問の食事補助は従業員に対する福利厚生施策の一環として行われているものと考えますが、本件については、当該食事補助が従業員にとっての具体的な労働条件となっているか、つまり従業員の権利となっているかどうかが重要になります。
食事補助の具体的な支払基準などが就業規則や労雇用約書に明記されておらず、会社がどこかのタイミングから任意で支給しているような場合は、従業員の権利になっているとまでは言えないため、原則として一方的に打ち切ることも可能であると考えます。ただし、この場合であっても、労使慣行として長期にわたって支給され続け、契約内容として法的効力が認められると、打ち切りの合理性を検討しなければなりません。
また、食事補助の支払基準が就業規則等や雇用契約書に明記されている場合は、従業員の具体的な労働条件、つまり権利となります。その場合は、打ち切りの必要性とそれによる不利益の程度を比較し、慎重に検討していく必要があります。
ご質問のような食事補助は、賃金としての性質も否定できないため、打ち切るためにはある程度高度な必要性が求められるのが原則ですが、一方で「福利厚生」という側面もあるため、必要性の有無について比較的緩やかに検討していただいても宜しいかと考えます。
従業員の理解(どの程度同意しているか)を考慮のうえ、反対多数のような場合は、食事補助を打ち切る代わりの措置(必ずしも同等のものである必要はありません)も検討すべきと言えます。
本件においては、従業員への丁寧な説明が特に重要になりますので、その点に留意して進めていただければと思います。