従業員が当日の朝、年次有給休暇の申請をしてきました。弊社の就業規則では「前日までに申請しなければならない」と定めているため、 これを拒否したいと思いますが問題ないでしょうか?(不動産業A社)
従業員は年次有給休暇の取得時季を指定できる権利を持っていますが、一方で会社も、指定された時季に年次有給休暇を取得されてしまうと事業の正常な運営を妨げるような場合に、指定された時季を変更できる権利(以下「時季変更権」と言います)を持っています。
そして、会社が時季変更権を行使するためには、当然にその判断をするための時間的余裕が必要になります。この点から、就業規則に別の定めがある場合、「当日の申請を認める必要はない」と考えられております。
年次有給休暇は、あらかじめ申し出ることにより、指定した日の労働義務が免除される制度と言えますので、遅くとも「前日の所定労働時間の終業時刻まで」に申請すべきものと考えます。
なお、常識の範囲内で、前日よりも前に申請を求める内容を就業規則に定めることも可能です。例えば、「1日の取得の場合は2日前までに」「連続5日以上取得する場合は1週間前までに」といった内容も常識の範囲内と考えます。また一方で「傷病や災害など、会社がやむを得ない事情と認めた場合は、当日や事後の申請を認める」としている会社も少なくありません。