賃金体系を出来高払制とすることを検討していますが、完全出来高払制とすることは問題あるでしょうか?(サービス業S社)
結論から申し上げると、完全出来高払制とすることはできず、一定額の保障が必要になります。
労働基準法では、「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と規定しています。これは、労働した以上、たとえ出来高が少ない場合であっても労働時間に応じて一定額の賃金の保障を行うことを使用者に義務付けたものといえます。
よって、出来高が全く上がらなかった場合であっても、労働時間に応じた一定額の賃金を保障しなければなりません。労働基準法では保障すべき賃金の具体的な額については、定められておりませんが、通達で「通常の実収賃金と余り隔たらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めるべき」とされており、おおよその目安としては、平均賃金の100分の60程度を保障することが妥当と解されています。ただし、この場合の金額が最低賃金(実労働時間数×1時間あたりの最低賃金)を下回る場合は、最低賃金を保障しなければなりません。