2021年4月から中小企業にも『同一労働同一賃金』が適用されると聞きましたが、そもそも『同一労働同一賃金』とはどのようなものでしょうか?(清掃業S社)
『同一労働同一賃金』は、働き方改革の一環として導入されたもので、正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者等)の間の「不合理な待遇差の解消」を目指す施策になります。
具体的には、「職務内容」もしくは「職務内容や配置の変更範囲」などが同じであれば待遇も同じであるべきというものです。例えば、正規雇用労働者のAさんと非正規雇用労働者のBさんの「職務内容や配置の変更範囲」が全く同じ場合、待遇は同等にしなければならず、これを「均等待遇」といいます。(「能力による差」は別です)
さらに、職務内容などに相違があっても、その相違に応じた待遇差にしなければならず、これを「均衡待遇」といいます。例えば、正規雇用労働者のAさんと非正規雇用労働者のBさんに職務内容などの違いがあって、Aさんの職務の責任の程度等が100、Bさんが80の場合、賃金などもそれに応じて100:80の割合で決定すべきというものです。
正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差の解消をするためには、上記の「均等待遇」と「均衡待遇」を考えていくべきですが、そもそも日本では正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、「職務内容」もしくは「職務内容や配置の変更範囲」がいずれも同一であることは稀であるため、「均等待遇」よりも「均衡待遇」が問題になる場面が多いと考えます。なお、派遣労働者に関しても令和2年4月より不合理な待遇差を解消することが義務付けられています。