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従業員が外出先から直帰する場合、仕事が終わった時点で会社に報告する決まりになっていますが、当該報告があった時点までを労働時間とし、自宅までの移動時間は労働時間に含めていません。 このような運用は問題あるでしょうか?(町田市 建設業E社)

 労働基準法では、労働時間を定義していませんが、行政解釈や過去の判例では、労働時間を「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」としています。
 
 しかし、最近の学説では指揮命令に加えて、労働時間か否かが問題となる活動の職務性・業務性を加えるべきという考えが有力になっています。つまり、会社が知らないままに従業員が勝手に業務に従事した時間まで労働時間として規制することは適切ではないので、 業務従事は会社の明示または黙示の指示によりなされたことを要するとしています。
 
 一般的に、直行とは直接自宅から目的地に移動することをいい、直帰とは目的地から直接自宅に移動することをいいますが、実際の労務提供は目的地で開始されるものであり、目的地までの移動は通勤と同質のものと考えることができ、従業員は移動時間中の過ごし方を自由に決めることができることから、会社の指揮命令が及んでいない状態にあるとして、労働時間には当たらないと考えられます。
 
 外出先から帰社する時間が労働時間になるかについては、訪問介護労働に関して「移動時間とは、事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間をいい、この移動時間については、使用者が、業務に従事するために必要な移動を命じ、 当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当するものであること」という行政解釈が出されています。
 
 つまり、この解釈では、移動時間が労働時間と判断されるために、次の二つの要件を必要としています。
 ①使用者が、業務に従事するために必要な移動を命じていること
 ②当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められること
 
 今回のご質問では、従業員が外出先から直帰する場合、仕事が終わった時点での報告を義務づけていますが、報告後の帰社は義務づけていないため、外出先から自宅までの移動時間を労働時間に含める必要はないと考えます。(=現在の運用は問題ないと考えます)

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