毎月の給与を支払う際に、給与から振込手数料を控除して振り込むことはできるのでしょうか?(町田市 サービス業H社)
労働基準法では、「賃金は、その全額を支払わなければならない」とされています。
これを「賃金の全額払いの原則」といいますが、これは賃金の一部を支払留保することによる労働者の足留めを封ずるとともに、労働の対価を残りなく労働者に帰属させるため、控除を禁止したもの」と解されています。
ただし、この「賃金の全額払いの原則」には、次の二つの例外規定が設けられています。
①法令に別段の定めがある場合
一部控除を認める法令には、所得税等の源泉徴収を認める所得税法、保険料の控除を認める健康保険法、厚生年金保険法、労働保険徴収法などがあります。
②労使の書面協定がある場合
この労使の書面協定には、少なくとも控除の対象となる具体的な項目、その項目別に定める控除を行う賃金支払日を記載することが必要とされていますが、「購買代金、社宅、寮その他の福利厚生施設の費用、社内預金等、事理明白なものについてのみ賃金から控除することを認める趣旨」であるとされています。
したがって、振込手数料は賃金の一部控除が許される上記二つの例外のいずれにも該当しないため、
賃金の振り込みを行う場合に、振込手数料を控除することは許されないことになります。
賃金の振り込みを行う場合に、振込手数料を控除することは許されないことになります。